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Message01 江頭 健輔

現行の医療で最善を尽くしても満足な効果が得られない難治性心血管病の根本的対策を確立し日本のそして世界の健康・医療に貢献する

1981年に九州大学医学部を卒業し、ひとかどの循環器内科医になることを目指して臨床・教育・研究の分野における修練を積み上げてきました。臨床医として匠の技を学び、丁寧に患者を診療し、それぞれ方々が抱えている問題を解決する最善の医療を提供したいと考えてきました。米国留学を経験させて頂き医師としての見聞を広げることができました。一方、臨床の現場には未解決の課題が山積しており、2000年以降、臨床医としての限界を痛感していました。急性期医療レベルの向上により発病早期の死亡は相当減少しましたが、その結果、慢性期の重症患者が激増し、患者の生活の質と生命予後は改善していません(がん患者との違い)。超高齢化時代を迎えて、現行の医療で最善を尽くしても満足な効果が得られない難治性心血管病(心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、末梢動脈疾患など)の患者が激増しています。

このような未解決の医学的課題はひとえに難治性心血管病に対する革新的医療の開発が成功してこなかったことに起因します。もし、難治性心血管病に対する全く新しい根本医療を実用化することが出来れば、一気にたくさんの患者を救うことができます。その目標を達成するために、ナノテクノロジーによる薬物送達システム(ナノDDS)に注目し導入を決めました。ナノDDSを活用すれば、病気のある場所(細胞、組織、臓器)に選択的に薬剤を送達させることができることから、高効果・低副作用の革新的標的医療として実用化できます。さらに、「知的財産を確保できる」だけで無く、実際に「事業化できる」体制を整備する目処が立ちました。そこで、私は2005年、「革新的医療の研究開発」に専念する研究開発責任医師(physician scientist for research and development)としてアカデミア創薬の道を進むことを決意しました。その根底には、「人のためになる、人を救う臨床と研究をする」という思いが常にありました。

私たちのアカデミア創薬の取り組みは、幸いに「橋渡し研究加速ネットワークプログラム(文部科学省)」「難治性疾患克服事業(厚生労働省)」「NEDO橋渡し促進技術開発事業(経済産業省)」「先端医療開発スーパー特区(内閣府)」などの国家プロジェクトに採択され、現在、九州大学病院において複数の臨床試験(医師主導治験)が進行しています。このことは、私たちが目指すナノ医療実現化プロジェクトが、「臨床試験に耐えうる優先シーズとして高く評価」されたからでしょう。

言うまでもなく「医療の研究開発」は実用化してこそ価値があります。大学だけで無く企業(創薬ベンチャー、製薬企業、etc)の叡智やものづくり力を総動員して、ナノ医療実現化プロジェクトが先導する医療イノベーションを実現したいと思っています。この出口を見据えた研究開発を加速するために、産学連携を基盤とする基礎研究→シーズ育成→人材育成→世界基準製造→ライセンスアウト→資金調達→新たな研究開発・人材育成・製造といったアカデミア創薬の好循環を継続的に推進できるナノ医療研究開発体制ならびに国際基準を満たすナノ粒子製造体制の整備を進めていきます。このような日本発の独創的なナノ医療分野のアカデミア創薬によって、日本のそして世界の健康・医療に貢献できれば幸いです。

アカデミア創薬:アメリカではアカデミア(大学)の研究成果を創薬ベンチャーがインキュベートして磨き上げ、製薬企業に橋渡しして、本格的な臨床開発や申請、販売は製薬会社が行う、というアカデミア創薬が定着しています。事実、最近、アメリカ規制当局(FDA)で承認されたアメリカ製新薬の約6割が、このアカデミア発創薬の所産です。 一方、日本ではアカデミア発創薬の停滞によって創薬力が低下しているのが現状です。このアカデミア発創薬が停滞している一番の原因として、「大学等で生み出された研究成果のインキュベーションを担う創薬ベンチャーが育っていないこと」が指摘されています。基礎研究の成果を確実に実用化につなげるためには、創薬標的の選択から前臨床試験に至るまでの「応用研究」への支援を切れ目なく行うことが必要です。この観点から、アカデミア創薬において創薬ベンチャーの果たす役割は重要です。

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事業内容|BUSINESS OUTLINE

  • 創薬事業
  • 医療機器開発・販売事業
  • 健康食品開発事業
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  • ナノテクノロジーの可能性