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研究内容

効果的かつ安心安全のPLGAナノ粒子製剤

ナノ粒子のモデル図
  • PLGA(poly(lactic-co-glycolic acid)ポリ乳酸・グリコール酸共重合体)は、生体への使用が米国食品医薬品局 (FDA) で承認されており安全性が担保されています。
  • 当社では、従来は困難であった多くの水溶性・脂溶性薬剤/化合物をナノ粒子に封入することに成功しています。
  • 極めて高い細胞内への導入効率を有しており、培養細胞では99%以上の細胞に速やかに取り込まれ、取り込まれたPLGAナノ粒子は細胞内で加水分解を受けることにより、封入された薬剤等を徐放することが確認されています。

PLGAの生体内での加水分解プロセス

加水分解され乳酸とグリコール酸を経て最終的には水と炭酸ガスになって排出されるため、体内蓄積性もなく安全性に優れている

SEP-001(ピタバスタチン封入PLGAナノ粒子製剤)低侵襲治療

対象疾患
重症虚血肢・急性心筋梗塞症重症肺高血圧症

閉塞性動脈硬化症は、患者様の生活の質(Quality of Life)を低下させ、生命予後を不良にする疾患です。とりわけ、重症虚血肢の患者様の生存率は著しく不良(1年死亡率:25%)であり、これはがん患者様の平均生存率より低い数字です。
有効な治療法が現在のところ、開発されていないため、当社のピタバスタチン封入PLGAナノ粒子製剤は極めて革新性の高い発明として注目されています。
スタチンはもともと心血管保護作用を持ち、血管機能改善、血管新生促進による虚血の改善、抗炎症などによる動脈硬化病プラークの安定化・退縮、虚血再灌流傷害などに有効であることが知られていました。
しかし、その心血管保護作用を患者様が得るためには、理論上、臨床用量の30倍以上の投与が必要であることから、経口薬として効能を得ることは不可能でした。
「もし、ナノDDS技術を用いて、スタチンを患部の血管内皮細胞に送達できれば、その心血管保護作用をより少ない用量で最適化・最大化できるのでは?」
この閃きから、当社の研究開発が始まりました。

ピタバスタチン封入PLGAナノ粒子製剤の誕生(PCT/JP2007/066926)

ピタバスタチン封入PLGAナノ粒子製剤を虚血肢に対して筋肉内投与することによって、虚血肢の血流の回復と下肢切断を回避することができる可能性があり、現在、九州大学病院において医師主導治験を行っています。それに伴い、安静時の患部の疼痛、虚血性潰瘍が改善されることが見込まれます。
ピタバスタチン封入PLGAナノ粒子製剤を虚血肢の血管内皮細胞に選択的に送達することで、通常必要とされる投与量の300倍以下の用量で血管新生が誘導されることが期待されます。

また、同様に有効な医薬品が全く無い虚血性心疾患(急性心筋梗塞症、狭心症、心不全)への治療にも適応拡大が期待されます。

ピタバスタチンナノ粒子製剤は、希少難治性疾患である重症肺高血圧症に対しても治療効果を発揮することを肺高血圧モデル動物において明らかにいたしました(非臨床POC取得)。
ピタバスタチン封入PLGAナノ粒子製剤を気管内投与、あるいは静脈投与することで肺の責任病変に送達され、肺細動脈病変の進行を抑制するだけでなく、治癒に導くことが期待されます。
これまでの非臨床試験で、ピタバスタチン封入PLGAナノ粒子製剤の投与によって病態が著明に改善されることを明らかにしています。また、他の肺疾患(二次性肺高血圧症や慢性閉塞性肺塞栓症(COPD)等)の治療にも適応拡大が可能であり、非常に臨床的、市場的重要性の高い研究開発であります。

SEP-002(シクロスポリンナノ粒子製剤)低侵襲治療

対象疾患
虚血再灌流傷害

人類死因の第1位は急性心筋梗塞・脳梗塞です。これらの疾患を患うと後遺症などが残るケースが多いのが現状です。後遺症の程度を決定する最も重要な予後決定因子は梗塞サイズであると報告されています。しかし、現行の最適医療として実施されている「再灌流療法(血流を再開して虚血を解除する)、いわゆる心臓カテーテル治療など」の治療効果は今もって不十分であり、長期予後は改善していません。
「虚血再灌流傷害」とは、この再灌流療法時に起こる現象で、長時間血流が阻害(虚血状態)になることで周辺細胞が壊死した場合、血流が再開されても壊死した部分で活性酸素などが発生し、細胞を傷害します。これを「虚血再灌流傷害」と言います。

この虚血再灌流傷害が生ずる要因はミトコンドリア障害と活性化単球の浸潤ですが、従来の研究開発ではこの二つのうちいずれか一つを標的にした治療法が多く、効果が不十分でした。
当社は、このミトコンドリアと活性化単球の二つに同時に薬物を送達する技術の開発に成功いたしました。
シクロスポリン封入PLGAナノ粒子製剤を、再灌流療法時に静脈内に投与することで、梗塞サイズが劇的に縮小することが非臨床試験によって明らかになっています。

シクロスポリンナノ粒子製剤の誕生(特願2013-156188, PCT/JP2015/069425)

再灌流領域(赤)ー梗塞部位部(白)選択的ナノDDS(緑)

SEP-003(γ—オリザノールナノ粒子製剤)機能性食品・医薬品

対象疾患
糖尿病・肥満症

食生活の欧米化に伴い、日本国内での肥満やメタボリックシンドロームは急激に増加し、それらを原因とする生活習慣病の患者数は著しい増加傾向にあります。2011年度の国民医療費のうち、医科診療医療費に占める生活習慣病の割合は全体の約3分の1(約9.8兆円)を占めています。(厚生労働省「平成23年度 国民医療費の概況より」)
生活習慣病は完治が困難で多額の医療費を必要とする場合も多く、医療費増大の要因の一つとなっている。日本の国民医療費は増大の一途をたどっており、厚生労働省の発表によると2025年度には約60兆円に達する見込みです。

このような現状にあって、当社は、個人が積極的に健康増進・予防を図る「セルフメディケーション」が大切であると考えました。
そこで、琉球大学医学部第二内科等との共同プロジェクト*の中で、肥満改善効果、糖・脂質代謝 改善効果、脂肪肝改善効果、血管内皮機能改善効果を持ち、玄米に含まれている成分「γ—オリザノール」のナノ粒子を最適化することに成功いたしました。

*沖縄県 平成26年度「ライフサイエンスネットワーク形成事業」

γ—オリザノールナノ粒子製剤の誕生(PCT/JP2013/084110)

効果・効能

通常、肥満症、メタボリックシンドローム、糖尿病、脂質異常などに効果を得るためには、γ—オリザノールを大量摂取(体重60 kgとして1日量 320 mg x 60 = 19.2 g)せねばならず、現実的ではありませんでした。
当社が最適化したγ—オリザノールナノ粒子製剤は、効果が得られる必要量を原体の1/1000以下に出来る画期的なものです。
現在、九州大学、琉球大学等と新たなプロジェクト*にも参画し、本製剤の実用化に向け日々研究開発を進めています。

*NEDO 平成27年度「革新的ものづくり創出連携促進事業」

(高)血糖(mg/dL)低下体重(g)減少
中性脂肪(mg/dL)低下炎症(TNFα)抑制